TWILIGHT SLIDER
この広場を通り過ぎれば、自分が住んでいるマンションに到着するのだ。

「――あれ?」

広場のベンチに、誰かが座っていることに夕夜は気づいた。

腕時計に視線を向けると、8時を過ぎていた。

こんな時間にどうしたのだろうか?

夕夜はベンチに歩み寄ると、
「あの、もしもし?」
と、声をかけた。

ベンチに座っていた人の顔があがった瞬間、
「――大村、さん…?」

夕夜は呟いた。

ベンチに座っていたのは、華だった。

夕夜は驚きのあまり、次の言葉が見つからなかった。

何故なら、彼女の顔は自分の知っている顔じゃなかった。

目を隠すようにまぶたが青紫色に腫れあがり、頬も赤く腫れあがっていた。

唇は切れて、端から血が流れていた。

「――大丈夫…?」

震える声で夕夜が聞いた瞬間、華の目から涙があふれた。

「――ッ、くっ…」

嗚咽をあげると、華は両手で顔をおおった。
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