TWILIGHT SLIDER
小さなその肩が震えていた。

夕夜は華と同じ目線に屈みこむと、
「――とりあえず、ケガの手当てをしようか?」
と、言った。

そう言った夕夜に、華は震えながら首を縦に振ってうなずいた。


夕夜は自分の家に華を連れて帰った。

「ソファーに座って待ってて、すぐに救急箱を持ってくるから」

テレビのうえの救急箱に手を伸ばした時、
「――すか?」

か細い声がしたので、夕夜は華に視線を向けた。

「えっ、何?」

「――聞かないんですか?」

痛そうに傷だらけの顔をゆがめながら、華が言った。

「――聞ける訳がないじゃないか」

夕夜は言った。

「何があったかって言うことくらいわかってるけど、俺は聞かない」

そう言った夕夜に、華の目が驚いたように見開いた。
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