TWILIGHT SLIDER
「私の他に女がいて、その女と一緒にいたの?」

綾乃は夕夜の腕を揺すって、何としてでも答えさせようと必死だ。

ここまできたら、嫉妬深いどころの問題ではない。

「何でそうなるんだよ!」

カッとなって、夕夜は綾乃の手を振り払った。

綾乃は一瞬驚いたように目を開くと、
「――へえ、いるんだ…」
と、呟くように言った。

「私以外に、つきあってる子がいるんだ…」

軽蔑にも似た眼差しで、綾乃が夕夜を見つめてきた。

夕夜は心の中でため息をつくと、彼女の頭のうえに手を置いた。

「悪い」

その瞬間、綾乃の眼差しが柔らかいものに変わった。

「俺が悪かったけど、どこ行ってたのかは教えられない。

けど、綾乃以外につきあってる女はいない」

初めから考えていたようなセリフだと、夕夜は思った。

そのセリフを言っている自分がとても滑稽で仕方がなかった。

そんな夕夜の気持ちに気づいてないと言うように、綾乃は照れくさそうに笑った。
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