TWILIGHT SLIDER
気がつけば、そこには誰もいなかった。

その場にいたのは、傷だらけになった自分の姿だった。

「――痛ッ…」

痛みにこらえながら、華は躰を起こした。

鏡に映るのは、ずぶ濡れで傷をおおった自分の顔だった。

その顔を見た瞬間、華は涙を流した。

殴られても涙は出なかったのに、どうして今頃になって涙が出てきたのだろうか?

涙が枯れるまで、華は1人で泣き続けた。

翌日から彼女たちに呼び出されて、トイレに連れて行かれては殴られた。

中傷の言葉と共に、痛みが躰に落ちてくる。

周りは知っていても、誰も自分を助けてくれない。

彼らは自分が被害者になるのが怖いから、華がトイレに連れて行かれるのを黙って見ているだけだ。

頼りになるはずの先生たちも、華のことを助けようとしなかった。
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