TWILIGHT SLIDER
誰も助けてくれない。

誰も守ってくれない。

華は何も言わず、与えられる痛みに耐えることしかできなかった。

中学を卒業した頃、自分の躰は魂が抜けた器のようになってしまっていた。

周りの声は耳に入っていなかった。

後輩からプレゼントをもらったり、写真を撮りあっている同級生たちの輪の中に、華は入ることができなかった。

また会いたいと思う同級生はいない。

友達になった同級生は誰もいない。

高校は努力の甲斐もあって、華は無事に国立の高校に合格した。

合格した高校は自宅から通って1時間半のところにあるが、知っている人がたくさんいる地元の高校よりかはまだマシな方である。

そう思いながら、華は卒業でにぎわう校庭を静かに去った。
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