TWILIGHT SLIDER
「好きなんだ」

体育館の裏にある大きなイチョウの木に呼び出された華を待っていたのは、そんなセリフだった。

そう言った相手は、隣のクラスの斎藤と言う名前の男子だった

バスケ部に所属していて、少女マンガの世界から飛び出してきたようなかっこいい容姿が印象的だった。

女の子たちの間にファンクラブができるほどの人気者で、何回か彼の話題が出てきていた。

そんな彼に告白された…けど、華の頭の中に浮かんだのは父親のことだった。

母親に暴力を奮っていた父親の鬼のような顔が華の頭の中でチラついた。

この人も父親のように暴力を奮う人かも知れないと、華は斎藤に対して不安を抱いた。

「――ごめんなさい…」

華は頭を下げて謝ると、その場を去った。

この話は、もしかしたら噂となって流れているだろう。

そう思ったら中学時代の出来事がよみがえってきて、華は頭痛に襲われた。
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