TWILIGHT SLIDER
華が予感していた不安は外れた。

下駄箱を開けても上靴はあったうえに、教科書も体操服も全て無事だった。

ファンの誰かに呼び出されると言うこともなかった。

まるで、周りは最初からこの出来事を知っていたと言うような感じだ。

しかし、
「やっぱり、君のことをあきらめきれない」

斎藤からしつこくされることが多くなった。

休み時間にわざわざクラスに顔を出してきたかと思ったら何度も話しかけられて、放課後には校門で待ち伏せされるようになった。

逃げても逃げても、斎藤は華のことを追ってくる。

次第に、周りは斎藤と華はつきあっていると噂されるようになった。

迷惑なだけだった。

好きでもない人との噂を流されて、嬉しい訳がない。

何度も断っているのに追いかけてくる斉藤は、もはやストーカーと化していた。
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