TWILIGHT SLIDER
「全く、とんでもないヤツらだね。

力づくでないと女の子にキスもできないのかよ」

ため息混じりに男が言った。

「君はしつこくされてたんだろ?」

そう聞いてきた男に華はうつむくと、
「――はい…」
と、小さな声で返事した。

「何度断っても、しつこくされて…」

そう言った華に、
「そうか…」

頭のうえに男の手が乗った瞬間、華は見あげた。

そこには、優しく微笑んで自分を見ている男の顔があった。

「つらかったんだね…」

男が言ったその瞬間、涙腺がゆるんだ。

華の目から、涙がこぼれ落ちた

「――あ…ごめんなさい、私…」

涙に気づいて慌てて指でぬぐった華だったが、
「いいよ」

男が言った。
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