TWILIGHT SLIDER
翌日も、その翌日も、朝と帰りに八神が送り迎えをするようになった。

そのことに斎藤もあきらめたのか、華に対して何もしなくなった。

いつの間にか八神は華のことを呼び捨てで呼ぶようになって、華も八神のことを名前で呼ぶようになった。

けど、この気持ちは何なのだろうか?

八神に会うたびに、送り迎えするたびに、自分の中でこの気持ちは大きくなって行く。

その気持ちに気づいたのは、華が高校2年生になった初夏の日だった。

冬の制服から夏の制服に変わった夕方のことである。

「じゃ、またね」

「おやすみなさい」

いつものように送ってもらい、名残惜しい気持ちを感じながらも、八神に背を向けた時だった。

「華」

後ろから八神の声がして、華は振り返った。
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