TWILIGHT SLIDER
その瞬間、視界がふさがれた。

八神が華のことを抱きしめてきたのだ。

「――隆一…?」

驚いて顔をあげようとしたら、八神はさらに華を強く抱きしめてきた。

どれくらい、そうしていたのだろうか?

「――好きだ…」

小さな声で八神が言ったので、華は顔をあげた。

そこに優しく自分を見つめる八神の顔がそこにあった。

その瞬間、華は初めて自分の気持ちに気づいた。

この気持ちは“恋”だ、と。

自分は、八神に恋をしていた。

その気持ちに気づいた瞬間、華の目から自然と涙があふれてきた。

華は隆一の胸に顔を埋めた。

「――私も…私も、隆一が好き……」

消え入りそうな声で、華は八神に自分の思いを伝えた。
< 79 / 202 >

この作品をシェア

pagetop