TWILIGHT SLIDER
その日の夕方だった。

夕夜は真っ直ぐ家に帰った。

部屋の前に到着した時、ドアが少し開いていることに気づいた。

開いているそのドアを見て、夕夜は嫌な予感を覚えた。

(――まさか…!?)

夕夜は勢いよくドアを開けた。

「大村さん!?」

勢いに任せて中に入ると、夕夜は華の名前を呼んだ。

目の前の光景に絶句をする。

部屋の隅で、傷だらけの華が小さな躰を丸くして震えていた。

華の目の前にいる男――彼が八神と言う人物なのだろう――が震えている華を見下ろして、肩で息をしていた。

倒れた家具や割れた窓ガラスがその現状を全て物語っていた。

「大村さん!」

夕夜は震えている華のそばに行き、躰を抱き起こした。
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