TWILIGHT SLIDER
華の前に立ったその瞬間、背中に激痛が走った。

「――うっ…!」

「先輩!」

倒れそうになった夕夜を華が支えた。

背中が痛い。

だんだんと、熱を持ち始める。

「先輩!」

華が泣きながら、何度も夕夜の名前を呼んだ。

「――大丈夫、だから……」

そう言って華に向かって笑いかけようとした瞬間、夕夜の意識が遠くなった。

「先輩!」

華の声が遠くに聞こえるのは、自分の気のせいだろうか?

(――守れなくてごめん、大村さん…)

心の中で華に謝ると、夕夜は目を閉じた。

どこかでサイレンの音がして、ドタドタとこの部屋に入ってくる足音が聞こえた。

それを気にしている余裕は、夕夜の中にはもうなかった。
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