フリ-ジングの鐘の音
「鍵があるのが見えるだけで、本当は、鍵なんて持っていないんだけどな…お前には見えるんだな…」
フリ-ジングは少年の言ってる意味が、どう言う事を伝えて来たのかわからなかった。

フリ-ジングは、少年が持つ鍵を、
もう一度見てみる。
何度見ても、角度を変えて見ても、鍵にしか見えなかった。

少年は、ドアノブに差し込んだ、鍵を回す。
“カチャ”
音がしたとたん、ドアノブから、白い煙のような物が、吹き出し、少年の姿が白い煙に包まれ、見えなくなってしまった。

煙が消えるのを、じっと見ていた。煙が上へと登るかのようにも見えた。
煙が消えると、そこに少年の姿は無かった。
「…!?」
フリ-ジングは、鐘のある時計台の
ドアが開いていたのを確認すると、中を覗き込んで見た。
前に見た、あの時のように。
足に冷たい感じがして、目で下を見ると、ドアに押し寄せる、雨が目に映る、とっさに、フリ-ジングは
開いていたドアを閉めるが、
ドアは、水嵩を増していた、雨水で重かったのか、ゆっくり
奇妙な音を立てながらドアを閉めて行った。
中は、どことなく、ジメジメしている。
少年のいる姿を探す、フリ-ジングは、上の方を見てみた。
恐る恐る一歩ずつ階段を登り、鐘の見える場所に少しずつ近づいて行く。
湿り気があるのか、以前の感じと違い、奇妙な感じの感覚に感じてならなかった。
雨音は、さっきよりも強くなって来たような感じもした。
< 22 / 50 >

この作品をシェア

pagetop