フリ-ジングの鐘の音
「君にそんな力があるなんて思っても見なかった…俺には出来なかったのに…」
少年は、目を丸くしながら、驚いている。
何となく、フリ-ジングは
自分に似てるような気がした。
がっそう思った瞬間、妖精の中に入った力が
少しずつさっきのように
弱々しくなって戻って行くような気がした…。
「…!?待って」
フリ-ジングが妖精に近づき
抱きしめる。
元に戻る姿を見た瞬間に飛びついて抱きしめていた。
「お願い…」
フリ-ジングが祈るように妖精を囲んでいた。
少年の身体から、不思議な言葉が浮かび上がり、
聞いた事も無いような歌を歌っていた。
少年が、歌い出すと、妖精が見る見る、力を取り戻すかのように
薄くなって来た身体が、はっきり見えるようになる。
フリ-ジングにも、その歌が心の中に響いて来た。
とても温かくて、始めて聴く歌なのに始めてでは無いような気もした。
しばらくして、歌が止むと、
バタンって音と共に、少年が倒れる。
「えっ…」
少年の方に駆け寄ると、
少年が起きあがろうとしていた。
「…歌うと何かよくわからないけど、吸い取られる感覚が…
君の力と俺の力があれば…妖精の力を取り戻せるみたいだな…!?」
少年が見ると、フリ-ジングが
自分を抱えている感じが伝わって温かく感じた。
とても安らぐ不思議な感覚が伝わる…生まれてこの感覚は
遠い昔のような気がした。

「置いていかないで…もう嫌なの…失いたくないよ…もう誰も…」
フリ-ジングが泣いてばかりいる姿に、心が痛んでいる気持ちになって来た。
この村に居た人達を一気に失い、村の活気を失った
フリ-ジングの気持ちが
少年の心に突き刺さる。
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