フリ-ジングの鐘の音
そこはどうやら物置小屋だったみたいで、
使われている様子は無かった。
少年は、疲れていたのか
その小屋に入り、
その辺に置いてあった、俵を集めて、その上に座った。
鞄の中を探りながら、ランプを取り出し、マッチで火をつけた。

「何立ってんだよ…ここに来て座れば?」

少年は、横を指さし
こっちに呼びかけて来た。
「嫌なら外で野宿でも?何か出ても怖いとか言うなよ」

フリ-ジングは、あわてて小屋の中に入り
少年の横に座る。
暗緑色の犬も入り
少年の反対側のドアの近くに
横になり座った。
ドアは丁度吹いて来た風にアオラレ閉まる。

フリ-ジングは、相当疲れていて
眠くなって来て、知らず知らずの内に、眠りについてしまった。寝た記憶は何も残っていなかったが、体がすっきりしていた。

目が覚めた頃には、魚の焼かれた匂いが、鼻の中に入ってきた。
目を開けた瞬間、そこには
あの少年が…

こっちに顔を近づけ見ていた。
「!?え〜っ」
びっくりして、飛び起きる
「なっななっ何っ!?」
少年は、バカ笑いしていた。
「もう〜むぅ〜」
ぷっくりフテクサレタ顔をすると
さらに少年は笑っている。
「そんなに笑わなくてもいいじゃないの!もぅ…」

少年は、こっちを見てまだ笑っている。
ドアの向こう側からまた、魚の匂いが。
「ねぇ…魚の匂いしない?」
少年は、ピタっと笑うのを止めた
「今朝川でとって来た…雨になると
滝登りみたいに始まるんだ…今朝の雨は凄かった〜おかげでビショビショ…でも…お前の体温かくて…」

「えっ!?」
よく考えると、何となく冷たい感じがした…何か…
「何これぇ〜服が濡れてる気がする…これってまさか…少年君がやったの?」

「おかげで早く乾いた〜何だよっ背中濡れたくらいで、猫だってよりそって寝るんだ
気にするなよ〜」

少年は、反省していないように映った。
「そのおかげで背中は濡れたまま…なのね…」
また膨れるフリ-ジング
外から匂う魚が気になり、
ドアから出てみる。
魚から汁が飛び出て
ジュ-ジュ-と音を立てて
魚が焼けていた。
お腹の音がグルグル鳴り、
恥ずかしかった。
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