フリ-ジングの鐘の音
「フリ-ジングも、あの鐘に気づいたのね」
母親はため息混じりに、答えた。
「時計台に鐘は確かにあるわ、でも
あの鐘は、鳴る為に
鐘があるわけでは無いの、この村にそびえ立つ鐘は
不幸の鐘と名付けられているのよ、この鐘が鳴るとき
この村は、破滅するとも言われているの、
いい?あの鐘には、絶対に近づかない事、中にも絶対に入らないことよっ
万が一あの鐘が鳴り出したらそれこそ大変な事になってしまうから」
フリ-ジングは、母親の言葉を少し疑った。
『どうして、あんなに綺麗に光る鐘が、不幸を呼ぶの…あの鐘の音色聴いてみたいのに』
フリ-ジングは、母親の話を聞き
ますます、あの鐘に
興味が湧いて来た。
真相を確かめたくてならなかった。
その夜から、フリ-ジングは
毎晩のように、鐘の方を
見つめては、月に照らされて輝く、鐘に心が惹かれた。
「あの鐘が本当に不幸を呼ぶなら、どうして作ったんだろう…。鳴らない何ておかしいもの」
来る日も、来る日も
フリ-ジングは考えた。
そして、ある晩、母の寝静まる時間を見かはらい、
家をこっそり抜けだし、
あの鐘に
近づいて見ることにした。
ドアノブに手をかけて回してみるが、やっぱり
鍵がかけられている。
< 5 / 50 >

この作品をシェア

pagetop