だから君に歌を
あの居酒屋の収入なんてたかが知れている。

一万円でもかなりきついはずだった。

昔ならいざ知らず、
今じゃ別にそんな金を千夏が必要としないことくらい、少し考えればわかりそうなものなのに、

千夏は通帳を閉じてバッグに乱暴に押し込んだ。

「…どこまで馬鹿…」

京平が会いに来たときにもう振り込んでくれるなと言えばよかった。
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