だから君に歌を
ここまで来て、
京平は現れるし、
手紙なんかよこすし、

おまけに何、
こいつ。

勘弁して欲しい。

どこまで神様は私を馬鹿にすれば気が済むっていうの。

「京平は私のものっ。誰にも渡さないっ」

そう、
香織ってゆうあのムカつく女にも、

この、目の前の生意気な男の姉にも、

千雪にでさえも…。

皆駄目。
あげない。

私の…

私の大好きなお兄ちゃん…

「…好き、なんだ?京平が。それって、特別な意味でって、捉えてもいい?」

千夏は慎太郎がどんな目で自分を見ているのかを知るのが怖くて、
畳の目をじっと見つめた。

明らかに気色悪いなんて、そんな目をされていたら…そう思うと心臓が縮こまる。

「そっか、そうなんだ…」

慎太郎の深刻そうな声が頭の上で響いた。

やっぱり、
こんな気持ち、
だれも認めてはくれない。

隆しか…

千夏は次に慎太郎から投げ出されるだろう言葉に備えてぎゅっと瞳を閉じて身構えた。

慎太郎の動く気配がする。

「そーだったんだ。だからなんだ。それは、すごい、」

何を、
言われるか、
ちゃんと、わかってる。

「辛かったね」

ぽんっと、
頭の上に掌の感触。
心地良い重みが千夏に伝わった。
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