だから君に歌を
腹立たしい。

千夏は右手を振り上げた。

その瞬間、
「千夏さんっ!」

いつの間にやら個室から出ていたマネージャーが、血相を変えて襖を開いた。

「千夏さんっ!ちょっと!」

マネージャーが振り上げていた千夏の腕を掴む。

「離して!こいつっ、ムカつく!」

「違います!大変です!」

頭に血が上ってしまっている千夏にマネージャーは大声をあげた。

「明日発売の週刊誌に記事が!」

そう言ってマネージャーが千夏の前に自分の携帯電話をかざした。

携帯の画面は通話中になっている。

相手は翔、バンドのリーダーだった。
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