だから君に歌を
「大丈夫って、何が?」

「ほら、こんなに騒がれて、調べられてたら、マスコミが行ったりとか。あと、島で変な風に言われたりとか…田舎ってそういうの結構ありそうだし、ちぃちゃんが傷ついたりしたら、」

「そんなの、知らないよ」

千夏の言葉に亜紀は一瞬目を見張った。

「この報道が嘘か真実かなんてのも、どうだっていいし、私は歌えないのが1番困る」

そう、
マスコミがどんな出まかせを書いたところで、

真実さえ書かれなければいい。

真実の方がよっぽど醜くて恥ずかしい、
誰も共感してくれない。

実の兄が恋愛対象として好きで、
たまたま知り合った実の妹を愛する男と傷を嘗め合うように抱き合って妊娠したなんて、

そんなことを書かれた日には、
首吊って死んでやる。
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