だから君に歌を
<お前、兄貴いたんだな>
少し笑いを含んだような声で翔が言った。
<お前この間さ、自分には歌しかないみたいなこと言ってたけどさ、それって間違いだと思うぞ>
「え、」
<兄貴と子供いるじゃねーか>
「…」
<どんな事情あったか知らねーけど、兄貴達はお前を見捨てたりしねえし、お前に歌ってゆう居場所がもし、なくなっても、迎えてくれるだろ>
言わないで、
そんなこと。
電話を終え、千夏が特にすることもなく、手持ち無沙汰にしていると、私服姿の亜紀が千夏の部屋に顔を出した。
亜紀は何かと千夏の所に顔を出す。
それは別に千夏に好かれようとか、
媚びようとか、
今まで千夏に近づいて来た女たちのような目的があってということではないように見えた。
何だか調子が狂わされる。
「何?」
千夏が声をかけると亜紀はギターケースを抱えて部屋に入って来た。
「暇かなぁ、と思ってこれ、私のなんだけど」
言いながら亜紀はケースからギターを取り出し、
チューニングを始めた。
「私もね、大学の頃とか、歌手になりたくて自分で曲作ったりしてたんだ。才能なくって諦めたけどね」
照れながら苦笑いする亜紀の言葉のイントネーションに今更ながら、
聞き覚えがあるような不思議な感覚を覚えた。
「そ、どんなの?バラード?」
「それも、あるけど。千夏さんと同じロック系もあるよ」
「ふぅん。」
少し笑いを含んだような声で翔が言った。
<お前この間さ、自分には歌しかないみたいなこと言ってたけどさ、それって間違いだと思うぞ>
「え、」
<兄貴と子供いるじゃねーか>
「…」
<どんな事情あったか知らねーけど、兄貴達はお前を見捨てたりしねえし、お前に歌ってゆう居場所がもし、なくなっても、迎えてくれるだろ>
言わないで、
そんなこと。
電話を終え、千夏が特にすることもなく、手持ち無沙汰にしていると、私服姿の亜紀が千夏の部屋に顔を出した。
亜紀は何かと千夏の所に顔を出す。
それは別に千夏に好かれようとか、
媚びようとか、
今まで千夏に近づいて来た女たちのような目的があってということではないように見えた。
何だか調子が狂わされる。
「何?」
千夏が声をかけると亜紀はギターケースを抱えて部屋に入って来た。
「暇かなぁ、と思ってこれ、私のなんだけど」
言いながら亜紀はケースからギターを取り出し、
チューニングを始めた。
「私もね、大学の頃とか、歌手になりたくて自分で曲作ったりしてたんだ。才能なくって諦めたけどね」
照れながら苦笑いする亜紀の言葉のイントネーションに今更ながら、
聞き覚えがあるような不思議な感覚を覚えた。
「そ、どんなの?バラード?」
「それも、あるけど。千夏さんと同じロック系もあるよ」
「ふぅん。」