だから君に歌を
隆に連れられて入ったのは焼肉の店だった。
個室に仕切られたスペースで、初対面の男と向かい合って座るという状況に、
千夏は少し緊張していた。
隆にメニューを手渡され、とりあえず目を通すけれど、何を注目していいのかわからない。
「決まった?」
メニューと睨めっこしていた千夏に隆が、おしぼりで手を拭きながら尋ねて来た。
「あ、や。まだ」
「…もしかしてこんな時間に焼肉とかって、太るの気になる?」
「別に、そんなわけじゃ」
千夏が首を振ると、
隆は「だよな」
と言って笑った。
「千夏ちゃん細いもんな。皐月も細いんだけど、夜中に食うと太るって食おうとしないんだよなー」
嬉しそうな顔で妹の話をする隆に、
千夏は複雑な気持ちになった。
「仲、良いんだ」
「うん。まあ…皐月のこと好きだし」
「そ…」
きょうだいのことを好きだなんて、千夏には簡単に口にできない。
絶対に。
結局、メニューをなかなか決められなかった千夏の代わりに隆が適当に注目してくれた。
個室に仕切られたスペースで、初対面の男と向かい合って座るという状況に、
千夏は少し緊張していた。
隆にメニューを手渡され、とりあえず目を通すけれど、何を注目していいのかわからない。
「決まった?」
メニューと睨めっこしていた千夏に隆が、おしぼりで手を拭きながら尋ねて来た。
「あ、や。まだ」
「…もしかしてこんな時間に焼肉とかって、太るの気になる?」
「別に、そんなわけじゃ」
千夏が首を振ると、
隆は「だよな」
と言って笑った。
「千夏ちゃん細いもんな。皐月も細いんだけど、夜中に食うと太るって食おうとしないんだよなー」
嬉しそうな顔で妹の話をする隆に、
千夏は複雑な気持ちになった。
「仲、良いんだ」
「うん。まあ…皐月のこと好きだし」
「そ…」
きょうだいのことを好きだなんて、千夏には簡単に口にできない。
絶対に。
結局、メニューをなかなか決められなかった千夏の代わりに隆が適当に注目してくれた。