だから君に歌を
ぱっ、と京平の掌が千夏の腹部から離れた。

一気に体から力が抜ける。

「病院って、那覇のか?」

「うん。そう」

この島には産婦人科がないので、定期検診は必然的に那覇の病院ですることになる。

千夏は島へ戻る前に行っていた病院へ行くことにしていた。

「じゃあ俺もちょうど用事あるし、仕事もねーから一緒に行ってやるよ」

京平はそう言うと次の日、朝一に千夏を連れて島を出た。

京平と二人で出掛けることなんて中学以来のことだった。
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