だから君に歌を
6her name is …
冬、
と言っても雪が降るわけでもなく、
寒さに凍えるわけでもない気候の、
そんなある日、
京平が言い出した。
「なぁ、名前考えたんだけど」
千夏が風呂上がりにストレッチをしていると、
京平がいそいそと千夏の傍にやってきて座った。
「名前…?」
「この子の名前、千夏まだ考えてないんだったら俺がつけてもいいか?」
「…何、どんなの?」
京平はデレデレとした笑顔を浮かべた。
正直気持ち悪い。
「今、聞くか?」
「勿体振んないで早く言いなよ。それにするかわかんないけどね」
千夏の大きくなったお腹を満足そうに見つめて京平は言った。
「千雪」
愛しいものの名前を呼ぶような声色だった。
「千の雪で、千雪」
雪、というものを千夏は見たことがない。
冷たいものだと想像できるけれど、
踏み締める雪の感触だとか、触れたときに溶けて消える様子だとかはさっぱり想像がつかない。
と言っても雪が降るわけでもなく、
寒さに凍えるわけでもない気候の、
そんなある日、
京平が言い出した。
「なぁ、名前考えたんだけど」
千夏が風呂上がりにストレッチをしていると、
京平がいそいそと千夏の傍にやってきて座った。
「名前…?」
「この子の名前、千夏まだ考えてないんだったら俺がつけてもいいか?」
「…何、どんなの?」
京平はデレデレとした笑顔を浮かべた。
正直気持ち悪い。
「今、聞くか?」
「勿体振んないで早く言いなよ。それにするかわかんないけどね」
千夏の大きくなったお腹を満足そうに見つめて京平は言った。
「千雪」
愛しいものの名前を呼ぶような声色だった。
「千の雪で、千雪」
雪、というものを千夏は見たことがない。
冷たいものだと想像できるけれど、
踏み締める雪の感触だとか、触れたときに溶けて消える様子だとかはさっぱり想像がつかない。