だから君に歌を
そんな千夏を香織は見下すように笑った。

「ほんっと、子供ね」

香織は明らかに千夏をライバルとして敵対視していた。

香織の目は好きな人の妹ではなく、恋敵を見ていた。

女の勘って本当に怖い。

「私は、京平に私だけのものでいろなんて強要した覚えはないし、全部京平の意思じゃないっ」

「…そう信じたいだけでしょ」

「違うっ」

「あなたがそんなじゃなきゃ京平は他の誰かを愛して、結婚して、幸せな家庭を作れるわ」

「うるさいっ!」

うるさい、うるさい、うるさい、
黙れ。

「そろそろ兄離れして京平を自由にしてあげたら?」

黙れ、

消えろ。

「あなたは所詮、ただの妹なんだから」

生涯のパートナーにはなれないでしょ?
そう言って香織は勝ち誇ったような顔をした。
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