だから君に歌を
あの日、
私を守ると言った彼は確かに私に無償の愛を捧げてくれた。

それがたとえ、
千夏の望む種類の愛ではなくとも。

彼が1番愛してくれているのは自分であると、
そう確信していた。

けれど気を抜けばすぐに、どこの誰かもわからない他人が、
他人だというだけで、
千夏から彼を奪っていこうとするから。

だから
常に怯えていなければならなかった。

いつか来る最悪な未来を、見たくなくて罪を重ねるしかなかった。
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