だから君に歌を

7さよならお兄ちゃん

千夏は千円札をカウンターに叩きつけて店を出た。

所詮ただの妹。

そんなこと言われなくったってわかっている。

自由にしてあげろ?

京平は自由になりたがってるの?

違う。

違うよね。ねぇ。

ガラリ、と少し建て付けの悪い扉を開くと扉のすぐ前に京平が立っていたので千夏は思わず「ひっ」とのけ反った。

「な、なにしてん、」

「千夏!誕生日おめでとう!」

呆気に取られたままの千夏に向かって京平はクラッカーを鳴らした。

「さ、中に入れ!」

そう促されて一歩居酒屋になっている店内に入ると千夏は息を飲んだ。

朝家を出るまではいつも通りの質素だった店内が、
色とりどりに飾られていた。

昔、
学校でよく作ったような色紙で作ったわっかや、紙で作った花。

そして店の中央に置かれたテーブルには大きなバースデーケーキが乗っかっていた。
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