だから君に歌を
京平はすぐに店を飛び出した。店の裏口から出て来るに違いない。

そう検討をつけて、
店の裏に回ると、何人かの女の子達が集まっていた。

京平もその中に混ざる。

しばらくして裏口の扉が開き、三人の男と千夏が出て来た。

「千夏!」

そう叫ぶがまたしても千夏は京平の声を無視して歩き出す。

「待てよ千夏!俺っ!」

京平は千夏を追い掛け千夏の肩を掴んだ。

そんな京平に、千夏はさすがに立ち止まった。

「千夏、探した」

「…」

「今まで、なにやってたんだよ。どうして急にいなくなったり、」

千夏は立ち止まったものの京平の顔は見ずに黙って下を向いていた。

「なぁ、千夏!」

先を歩いていた一人の男が京平達を振り返った。

「何だ千夏、お前、男いたの?」

からかうような声が飛んでくるが、京平は千夏しか目に入らない。

京平が更に千夏に詰め寄ろうとすると、千夏は肩に置かれていた京平の手を心底面倒臭そうに払いのけた。
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