だから君に歌を
その必死さが逆に千夏に気に障っていたのも知っている。

でも、
でもだ。

千夏はあの日、
千夏と京平たった二人きりで千夏の誕生日を祝ったあの日、

京平を好きだと、
誰よりも1番好きだと言ってくれた。

あの言葉が嘘だとは思えないし、
思いたくない。

あの言葉があったからこそ京平は今日まで四年も、
沖縄で両親の残してくれた店を続け、
男手一つで千雪を育てて来れたのだ。

いつか千夏は帰ってくる。

そう信じて。

「千夏、わかんねーよ、俺…どうしたらいんだよ」

京平は誰も返事をしてくれない狭いホテルの天井に向かって問うた。
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