だから君に歌を
「ー千夏さん?」

突然、女性アナウンサーに名前を呼ばれて千夏はビクッと肩を震わせた。

「はい!?」

慌ててマイクを口元へ持っていくと、他のメンバーたちがクスクスと笑った。

本番中にぼーっとするなんて。

「CD発売初日から売り上げトップですけど、今の気分はいかがでしょうか?」

「あー。えっと、そうですね…」

綺麗な笑顔を向けられて、千夏の頭は真っ白になった。

何も浮かばない。

今の気分…。

今の気分はー…。
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