ヒューマノイドハンター
ふぅとため息をつく。

文句を零してると、誰かに肩を叩かれた。


いや誰かではない。
仲間であり、唯一の女性である彼女だ。


「そう言わないでくださいよ」
「レイナ……」

少女はにっこりと笑いかける。
見た目は見目麗しい少女だが、これでも隠密部隊の隊長なのだ。

レイナ=S、ナレイス。
それが彼女の名前だ。

出身地は不明となっているが、青き髪と瞳はまるで穏やかな海を連想させる。

それだけで彼女が海の向こうの住人だと証明しているだろう。


「幸い、この地方の町村は守られてましたし」
「そう……だけど」


そう言われると何も反論出来ない。
相良が拠点を破壊するも何も、この場所ではまだ町村は無事だった。

しかし念には念を入れて探索した結果、この近くに拠点があると判明したのだ。


そこでその通達を真っ先に受けた相良が独断先行。
それを俺達が追いかけている最中なのだ。


「大丈夫ですよ、相良さんなら」
「大丈夫、ね……」
「はい」


疑問も無い、純粋な瞳のまま、答えられた。
けど相良だ。
もしかしたらと思うと、どうしても急ぎ足になる。
いや、もう後の祭りという事も……。


奴と同じ任務を何度かしている俺だが、未だに奴が何も起こさず任務を完了した事は一度もないのだ。

それだけに言い知れぬ不安が付き纏っている。


「……そんなに信用ないんですか?」
「え?」
「顔を見れば分かります。浮かない顔をしたままですから」
「参ったな……」


困ったように頭をかくと、レイナはくすくすと笑った。


「顔に出さないようにしたつもりだったのにな」
「そうなんですか?」
「ああ、だから――」


言いかけて俺達は足を止めた。
左側の茂み、そこに何かが見えたのだ。
あれは間違いなく……。


「レイナ」


レイナは頷き、腰から短刀を抜き放つ。
俺も鞘に手をかけた。

こちらの緊張が伝わったのか、茂みが大きく揺れ出す。

くる……!


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