スケベの季節
探し疲れた私は、何の変哲もないパブに辿り着いた。
カウンターには枯れた髭面がひとり。
フロアには小結級のおねえさんがひとり。

一つ椅子を挟んで座った金髪の男の会話が漏れ聞こえてきた。


℃¥$シュケベニンゲン¢£%#&…


シュケベニンゲン?
ドイツ人か?

戦時中、ドイツ軍スパイの容疑者に、
『スケベニンゲン』と言わせたそうだ。
ドイツ人は、『シュケベニンゲン』と発音してしまうのだ。

(今度はイタ公抜きでやろうぜ!)


一度くらい言ってみたい台詞をその男の背中に呟き、私はパブを後にした。


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