スケベの季節
初秋の夜風はすでに肌寒い。
私は上着の襟を立てながら、後悔の念を噛み締めていた。

私は何故、今ここにいるのかと。

あのままアムステルダムに留まっておくべきだった。
同じ夜風に吹かれるにしても、飾り窓連ねるあの通りがよかった。
何より、スケベニンゲンへの根拠なき夢想を破壊すべきではなかったと…


頭の中で妻へのメールを考えつつ、何故だか文章が北の国からの黒板純風になるのを禁じ得ない、そんなスケベニンゲンの夜は更けてゆく。



    【完】


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