黒き手が…

伸びる黒き手

その夜。ミナは不思議な夢を見た。

アキが深夜、踏み切りの前に立っていた。

電車がもうすぐやって来る。

アキは待っている、電車が通り過ぎるのを。

しかし電車が目の前までやってきた時。

―アキの背後から、黒い手が伸びた。

そしてアキの背は押され、その体は電車の前に―

「………っ!」

電車のライトに照らされ、アキの恐怖に引きつった顔が浮かんだ。

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