俺が大人になった冬
「泊めてって……と、泊まるのは別に構わねぇけどさ」

そんな俺の気持ちを悟られまいと、必死に抑え気味の声を出す。しかし頭の中はすでに、色っぽい妄想でいっぱいだ。

「俺んち、布団一つしかねぇけど」

念を押すように確認する。すると彼女は

「私は布団なんていらないわ」

と、俺の言葉を深く考えていないように答えた。

「そ、そんなわけにはいかねぇだろ?」

エリナと別れて以来女を抱いていない。そんな状態で彼女と一つの布団で寝るなんて。手を出さずに堪えられる自信は、まるっきりない。

しかし、またうっかり暴走して彼女に逃げられるのは嫌だ。

「俺は『男』なんだぞ」

俺はその言葉に全ての意味を込めるように、まっすぐ彼女の目を見て言った。

返事を待ちながら、苦しいほど胸が高鳴る。
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