俺が大人になった冬
(2)新しいターゲット
11月に入り、久しぶりに高校のときの仲間と夕方渋谷で集まる約束をしていた日のことだ。その日俺は学校をサボり、朝からダラダラと過ごしていた。
「腹減った……」
エリナはイタリアに遊びに行っているらしく、そのせいで3週間近く女を抱かない、無収入な生活を送らされていた。
俺は一人暮らしをしている。親からは必要最低限の生活費しかもらっていない。
本来ならば、なにかバイトをしなければならない状況なのだが、女からもらっている金のお陰で、他のことをしなくてもそこそこいい生活を送れていた。
しかし、今回のように3週間も無収入というのは、予想外のことで、いつも通りに月初めにパッと金を使ってしまい、今日仲間と遊べば、月末までの生活費がヤバいことになってしまうような状況だった。
親に言えばおそらく用立ててはくれるのだろうが、それだけは意地でもしたくはない。
そんな危機感から、新たなターゲットを探すことを思い付いた。
考えてみれば、お互い割り切って付き合っているんだし、エリナ以外の女がいたっていいのだ。
エリナはたまにこうやって、長期で旅行に行くらしいし、もう1人女がいた方がなにかと便利だ。