俺が大人になった冬
俺の腕の中で小さくなる彼女。

ゆっくり息を吸い込み、彼女の存在を確かめる。

彼女の髪から香る俺のシャンプーの匂い。

同じ匂いがする。それだけで不思議と幸せな気持ちになる。

「……元くん…意外とたくましいのね」

「意外とか言うなよ。俺だって一応『男』だし」

「そうよね……」

「そうだよ」

ふと目を上げた彼女と目が合い、お互い小さく笑う。

恋人同士ではない俺たちの、微妙なやりとり。
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