俺が大人になった冬
「は!? 今のなに?」

「フランス語」

「な、なんでそんなの話せんの?」

「おばあちゃんがフランス人なの」

「え? マジで!?」

確かに顔立ちは日本人っぽくはないけれど……本当なのだろうか?

俺の問いかけに彼女はどちらとも言わず、俺の面食らった顔を見て勝ち誇った顔で笑っていた。

さっきの仕返しのつもりなのか!?

「今のどういう意味?」

「内緒」

混乱する俺に、彼女はイタズラっぽい表情を浮かべる。

「なんだよ、それ。ズリぃよ。教えろよ。絶対(ぜってぇ)俺の悪口言ったんだろ!」

「さぁ? 自分で調べてみたらどう?」

「うわ! 性格悪りぃ! 一晩一緒に寝たら、あんた性格変わったよ!」
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