俺が大人になった冬
「つーか、よくお前俺の誕生日覚えてるじゃん」

「覚えてるつーの! お前俺たちの中で唯一の『平成生まれ』だし。俺とか日高なんかは4月だから諦めもつくけど、浩二なんか12月29日生まれじゃん。あとちょっとで平成生まれだったのにってすげぇ悔しそうにしてるし」

「関係なくね? 昭和とか平成とか」

「聞こえが違うだろ。昭和生まれと平成生まれじゃ!」

「そうかな」

「まぁ。そんなわけで、これゲンにやるよ」

ヒサはカバンの中から、茶系のちょっとシックな包装紙で包まれた小さな箱を取り出し、満面の笑みで

「誕生日おめでとう!」

と言いながら、俺にその包みを手渡す。

ヒサの声があまりに大きくて、恥ずかしい気持ちと、照れ臭さから少し顔が熱くなった。

「おぅ。ありがとな」

友達に誕生日を覚えていてもらえる。なんだか照れくさいけれど、正直嬉しい。
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