俺が大人になった冬
ゆっくりと振り返り、今度は俺から彼女を抱き締めた。

心いっぱいに、泣きたいくらいの愛おしさが広がっていく。

彼女の名を小さく囁き、今までにない緊張感の中でそっと口付ける。

その口付けは少しずつ深くなり、俺たちは互いに互いの存在を確認するように求め合った。

服を脱いだ彼女の体は、思っていたよりずっと細くて、強く抱き締めたら折れてしまいそうなほどだった。

胸も貧弱で、決してナイスバディーという体ではなかったけれど、今まで抱いたどの女の体よりも、愛おしく、美しく思えた。

まるで雪のように真っ白い肌に口づけながら、まっさらな雪の上に足跡を付けるみたいに、一つ、また一つと小さな跡をつけた。

俺の指が、唇が、彼女の肌に触れるたび、彼女の指が、唇が、俺の体に触れるたび、心の奥から込み上げてくる『愛している』という気持ち。

それは今までのセックスでは決して味わったことのない幸福感。

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