俺が大人になった冬

「撮りたい!」

「ダメ」

俺は妙に明るく振る舞っていた。

会うのはこれで最後にしたいと、昨日、彼女に言われたからだ。

最後の朝を涙で終わらせるのは嫌だった。

沈黙が恐くて必死に会話を探して、どうでもいい話をしたり、おかしなことを言って彼女を笑わせたり。

彼女も俺と同じ気持ちだったのか、妙に楽しそうで。

別れがやってくるなんて、思えないくらいだった。

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