俺が大人になった冬
「お昼ご飯を食べたら、帰るわね」
朝メシを食べ終わり、一緒に洗濯物を干しているときに彼女は言った。
「そっか。準備とか色々あるもんな……」
夜までいられると思っていただけに、ショックだった。
「これ以上一緒にいると、あなたを離せなくなってしまうし」
空になった洗濯かごを持ち部屋に入りながら、何気なくそう言われドキッとした。
「え?」
「元くんは、とても素敵な男の子だわ。私が独り占めしてはいけないくらいに」
言いながら、俺にまっすぐ向けられた彼女の眼差しに、俺への想いの強さを感じずにはいられなかった。