俺が大人になった冬
「元くん、苦しいわ」

彼女を抱き締めながら、

『このまま彼女の首を絞めれば、もう彼女はどこにも行かない。彼女は永遠に俺だけの物になる』

そんな恐ろしい考えが、一瞬頭をかすめた。

もちろん、そんなことは間違ってもしてはいけないことだし、しないけれど、別れ話のもつれで相手を殺してしまう犯人の気持ちが分かるような気がした。

そんなことを思ってしまった自分が恐かった。

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