俺が大人になった冬


「あ、もしもし。母さん? 無事に着いたから……うん。意外と寒い」


──来ちゃったよ。カンヌ。

この1年、ずっと考えてたけど、やっぱりあなたを忘れることはできないんだ。

相変わらず、俺はガキだし、遠距離だし、会ったところでどうなるか分からないけれど、やっぱりどうしてもあんたに会いたい。

会って、今の気持ちを伝えたい。

もしかしたら、あんたはもう新しい恋をしているかもしれない。

でも、そんなの気にしない。

つーか、あんたみたいな自分勝手な女の相手は、俺しかできないに決まってる。
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