俺が大人になった冬
カンヌの美しい海を前にしても、やはり景色を楽しむ気分にはなれない。
俺はサンドイッチを紙袋から出し、丸型パンに、ツナ、トマト、オリーブ、アンチョビ、ゆで卵なんかが挟まっているすごいボリュームのそれを大口で頬張りながら、片手でガイドブックを開き、次に向かうホテルのチェックしてみた。
海沿いのいかにも高級そうなホテルは、何となく尻込みしてしまい、まだ足を運んでいないが、後回しにしても仕方ない。
これを食べたら覚悟を決めて回ってみることにしよう。
この空の下に、彼女がいるはずなのに……
そんなことを考えながら、空を見上げると、ぽっかりと浮かぶ鳥のような形をした雲を見つけた。
「あ……」
俺はカバンからケータイを取り出し、いつものようにその雲を写真に撮った。
ずいぶん前からフォルダはすでに容量いっぱいで、新しい物を撮ると必ずどれかを消さなければならない。俺はその都度、厳選に厳選を重ねてより面白い写真を保存している。
今撮った鳥みたいな雲は形的にはイマイチだけれど、カンヌの海の記念に残しておくことにした。
俺はサンドイッチを紙袋から出し、丸型パンに、ツナ、トマト、オリーブ、アンチョビ、ゆで卵なんかが挟まっているすごいボリュームのそれを大口で頬張りながら、片手でガイドブックを開き、次に向かうホテルのチェックしてみた。
海沿いのいかにも高級そうなホテルは、何となく尻込みしてしまい、まだ足を運んでいないが、後回しにしても仕方ない。
これを食べたら覚悟を決めて回ってみることにしよう。
この空の下に、彼女がいるはずなのに……
そんなことを考えながら、空を見上げると、ぽっかりと浮かぶ鳥のような形をした雲を見つけた。
「あ……」
俺はカバンからケータイを取り出し、いつものようにその雲を写真に撮った。
ずいぶん前からフォルダはすでに容量いっぱいで、新しい物を撮ると必ずどれかを消さなければならない。俺はその都度、厳選に厳選を重ねてより面白い写真を保存している。
今撮った鳥みたいな雲は形的にはイマイチだけれど、カンヌの海の記念に残しておくことにした。