俺が大人になった冬

「そうよね……元くんの状況も考えずに、『たまに会って欲しい』なんて変なことお願いしたからいけないのよね……」

「そ、そんなこと。あんたが悪いなんて誰も言ってねぇし！」

「ううん。私がいけないんだわ。わがままに付き合わせてごめんなさい」

「なんで謝ってんだよ。学校勝手にサボってんの俺だろ？　悪いの俺じゃん！」

嫌な予感がした。

『もう会わない』と言われてしまいそうで気持ちが焦った。

その一方で、なんでこんなに焦っているのか自分自身よく分からなかった。

別にヤラしてくれるわけでも、金をくれるわけでもないこの人に、会えなくなったところで生活は困らない。

だけど……

自分の気持ちが上手く整理できず、言葉にならないまま、俺は机の上に置かれた彼女の左手をギュッと握りまっすぐ彼女を見つめた。