俺が大人になった冬
事が終わると、言いようのない虚しさが俺を襲った。
エリナの顔を見ることができず、俺はうつ伏せになって枕に顔を埋めた。
「ゴウくん、なにかあった?」
そんな俺をおかしく思ったのか、体を半分起こして俺の顔を覗き込むようにエリナが尋ねてくる。
「え?」
「いつもと感じが違った」
「……そう?」
的確なことを言い出されて、鼓動が少し早くなるのを感じる。
しかしエリナは
「なんだか強引でいつもよりよかったわ」
と、バカみたいに満足げな表情を見せた。
俺が黙り込んでいると、エリナがなにかを思い出したように「あ、そうだ!」と、体を起こしガウンを引っ掛け、カバンの中から財布を出し
「もうすぐクリスマスでしょ? これじゃあ足りないと思うけど、なにかの足しにして」
そう言いながら、俺に5万握らせてきた。