俺が大人になった冬
その日はそのまま、ヒサと一緒に過ごした。
ヒサのバイトは荷物の仕訳作業で、年末で人手が足りないと、早速ヒサと同じ深夜~早朝の時間帯で3日間だけ雇ってもらうことができた。
朝、仕事を終えヒサと軽く朝メシを食ってから部屋に帰ると、はじめての肉体労働と、極度の睡眠不足で、半分寝ている頭で敷いた布団に倒れ込み、まさに泥のように眠った。
彼女から電話があったことに気付いたのは、ようやく目が覚めた午後四時過ぎのことだ。
寝ぼけた頭で、ケータイに手を伸ばし時間を確認しようと思ったのだ。
ケータイの待ち受け画面に表示された電話の着信を知らせるマークと、伝言のマーク。
まだ頭が機能していない状態で、なにも考えず着信をチェックすると、そこにはしっかり彼女の名前が表示されていた。
それを目にした瞬間、心臓が大きく飛び上がり一気に目が覚める。
せっかくの彼女からの電話を取ることができなかった悔しさを感じながら、妙に緊張して少し震える手でメッセージを聞いた。
メッセージは「明後日会いたい」というものだった。