秘密
秘密
「せーんぱいっ」
「……またお前かよ」
昼休みは毎日と言っていいほど図書室に足を運ぶ。
理由は1つ。
先輩に会いたいから。
図書室は滅多に生徒は出入りしない。
だから昼休みと放課後は先輩と2人っきりになれるのだ。
「お前、友達いねぇのかよ」
「いますよ」
先輩はダークブラウンの髪の毛をかきながら、呆れた顔をした。
「だったら、その友達のとこに行け」
「私、文学少女ですから。本を読みに来てるんです」
「嘘つけ」
先輩は多分、私が先輩を好きなことを知っていると思う。
「先輩のオススメの本って何ですか?」
「秘密」
「えー、教えてくださいよ」
「……お前さぁ、よく馬鹿って言われない?」
「ばっ、馬鹿!?私、これでも賢いほうですよ?」
「あっそ」
そして、私も知っている。
先輩が誰を好きなのかも。
その相手が私でないことも……。
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