秘密
秘密




「せーんぱいっ」


「……またお前かよ」


昼休みは毎日と言っていいほど図書室に足を運ぶ。


理由は1つ。


先輩に会いたいから。


図書室は滅多に生徒は出入りしない。


だから昼休みと放課後は先輩と2人っきりになれるのだ。


「お前、友達いねぇのかよ」


「いますよ」


先輩はダークブラウンの髪の毛をかきながら、呆れた顔をした。


「だったら、その友達のとこに行け」


「私、文学少女ですから。本を読みに来てるんです」


「嘘つけ」


先輩は多分、私が先輩を好きなことを知っていると思う。


「先輩のオススメの本って何ですか?」


「秘密」


「えー、教えてくださいよ」


「……お前さぁ、よく馬鹿って言われない?」


「ばっ、馬鹿!?私、これでも賢いほうですよ?」


「あっそ」


そして、私も知っている。


先輩が誰を好きなのかも。


その相手が私でないことも……。


< 1 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop