恋の星
昼休み、私は先生に頼まれ事をされた。
一応これでもか弱い乙女なのに、なんて馬鹿なことを思いながら私は大量のノートを運んでいる。
「重……」
何十冊あるかわからないノートを抱えながら、必死に前へと進む。
「──!」
階段に差し掛かったところで、私は足を滑らせた。
「っ!?わっ!きゃーーっ」
ノートが頭上で散らばるのが見える。
スローモーションを見ている気分だった。
今日は星座占いで1位だったのに。
今日は良い日なはずなのに。
なんで私は階段から落ちてるの!?
下まで落ちていく怖さに思わず目をつむると、なぜか体全体に温もりを感じた。
恐る恐る目を開けると、目の前には階段が見えた。
どうやら階段の踊り場まで落ちたらしい。
それにしても、どこにも痛みが感じられないのはなぜだろう。
しばらくボーッとしていると、座り込んでいた地面が急に動いた。
「痛ぇ……お前……重い……はよどけ」
「え!?わっ!ごめんっ」
私の下敷きになっている坂上は、苦しそうにしている。
「坂上、ごめん!」
慌てて坂上から離れ、頭を下げて誤った。
「はぁ……。星座占いも、あながち間違いやないんやな……」
坂上は制服の皺を直しながら、スタスタと去って行った。